マイク・エーブルソン

「Tool Roots」

2017.5.18(木)~2017.7.25(火)

アート&カルチャー

我々が日々手にしている道具の形はどうやって生まれたのでしょうか?
プロダクトデザイナーのマイク・エーブルソンは長年にわたり、独自のリサーチを続けています。「ツール・ルーツ」と名付けたリサーチでは、道具の形がどのように互いに影響し、つながりあい、変化していくかを考えていきます。今回は「オブジェに宿るもの」というテーマに導かれ、メゾンエルメスのウィンドウに彼の壮大なリサーチの内容を再現します。

エーブルソンによると、道具は3つのベーシックな形、「Stick (棒)」「Rope (縄)」「Bowl (器)」から成り立っています。私たちの身のまわりにある道具の形はこの3つの形の組み合わせでできているのです。その様子を説明するために、「ツール・ルーツ」ではベーシックな形を赤、青、黄の3色に分け、その色を混ぜ合わせることで道具の形の多様性をあらわしました。

その中におさめられたエルメスのオブジェ。すなわち鞭、馬具、テーブルウエア、バッグ、ベルト。このスペクトルの中に入ると、不思議とどのオブジェも同じカテゴリーのオブジェと形が似ているだけでなく、似た機能を持っていることがわかります。

エーブルソンは日々観察をしています。日常生活にあるオブジェを手に取ったとき、なぜ、どうして、と疑問に思うところからリサーチが始まります。小窓の中では、「ツール・ルーツ」の法則をもとにエルメスのオブジェを解剖した様子を、人類学者のように書き溜めたノートをディスプレイしています。

「ツール・ルーツ」の3つの形の根源は人間の手です。Stickは手が届かないところに届くこと、Ropeはたくさんのものを抱えること、Bowlは形のないものをすくうこと。いずれの道具もこういった手の動作を長い時間続けるために作られた、とエーブルソンは仮定します。人間が生み出した道具は、素材や環境、日々の行動の変化によって少しずつ形を変えて、ひとりではできないことができるようになっていったのです。

アーティスト・プロフィール: マイク・エーブルソン
マイク・エーブルソンは身のまわりの品を観察し、みずからも日用品をデザインすることで、人間についての理解を深めています。プロダクトデザイナーになったのも、素晴らしいデザインのオブジェが日常生活の「仲間」になるということに強く惹かれたことがきっかけです。

エーブルソンは2000年にニューヨークで《ポスタルコ》を共同で設立し、日本の手仕事を活かしたステーショナリー、アウターウェア、レザー製品をデザイン、制作してきました。エーブルソン自身は15年ほど前に東京に拠点を移し、日本のものづくりの新たな活用法を模索し続けています。

カルダー財団、ジャック・スペード、コンランショップ、サンスペル、イッセイミヤケをはじめとした多様なクライアントワークのほか、「活動のデザイン」(21 x 21 design site、東京、2014年)、「Carrying – マイク・エーブルソンのデザインリサーチ」(MDSギャラリー、東京、2005)「Postalco Up Until Now」(CLASKA 3F Gallery & Shop “DO”、東京、2009)、「Wallpaper* Handmade in Milan」(ミラノ、2012)「Wheel Printer」(クリエーションギャラリーG8、東京、2012年)といった展覧会も行っています。

ロサンゼルス出身、現在は東京在住。