ステファニー・クエール Stephanie Quayle

「URBAN JUNGLE」

2016.11.16(水)~2017.1.17(火)

アート&カルチャー

銀座メゾンエルメスのウィンドウが新しくなりました。
2016年の年間テーマ「自然―軽やかなギャロップ」の締めくくりとして、メゾンエルメスウィンドウでは野生の動物を都市の風景に招き入れました。


イギリスとアイルランドの間にある島、マン島出身のアーティスト、ステファニー・クエールは動物を表情豊かに造形します。まずはスケッチ。素早く、のびのびと動物を描くことで、粘土を使った造形に取りかかる前からエネルギーを高めます。あとは粘土が自然の力を宿したら・・・、形は一瞬のうちに現れるのです。そのようにして生まれた彫刻が都市空間に現れると、人間と動物がはらんでいる緊張と協調という関係性が際立ってくるようです。

正面左手のウィンドウでは、テラコッタの大きなオランウータンが私たちを見つめ、見慣れぬ世界をじっと眺めています。木の幹に腰かけて私たちを見透かし、人間のずる賢さまでも理解しているかのような佇まいです。都会に動物がいるという意外さが、我々が当たり前のように思っている風景に違和感さえ引き起こします。

右手のウィンドウでは、サルの一群が“文明”世界のものをいたずらっぽい表情であれこれと調べています。彼らは遊び心たっぷりに、動物にまつわるあらゆる格言に頷くふりをして、人間の本質はなにかという問いを投げかけてきます。

小窓の中では、動物や鳥がエルメスの製品のうえに止まりと戯れ、探索し、住み着き、そうやって我が物にしながら人間がつくった世界の秩序を逆転させています。

彫刻があたかも生きているようにウィンドウのなかを動き回り、人間さながらに製品をもてあそぶ様子は、ユニークで個性に溢れる。その生き生きとしたようすを目の当たりにすると、最も場違いなのは、実は私達人間なのかもしれないという思いをも抱くのです。
エネルギーと存在感に満ち溢れたウィンドウの動物たち。私たちが動物を眺めているのではなく、実は動物が私たちを眺めているのかもしれません。
 
 
Artist Profile:ステファニー・クエール
1982年、英国マン島に生まれたステファニー・クエールは、島内の農場にあるアトリエとロンドンのスタジオで制作している。作品の根底に流れるものは、人間と動物が本来もっている自然の力強さ。自然に囲まれた農場での暮らしのなかで、自然界が与えてくれる力強さ、謙虚さ、不可思議、あらゆる英知が創作活動のインスピレーションとなっている。
2007年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、直に粘土から造形した大型陶像を窯で仕上げる手法をとってきた。日本の「信楽陶芸の森」にアーティスト・イン・レジデンスとして3か月滞在中、さらに大型の作品を伝統的な窯で焼くことに取り組み、その成果を東京のPOSTで展示。日本では他にDover Street Marketや南天子画廊、t-galleryでも紹介され、近々ギャラリー38での個展を予定している。近年はTJBoulting Gallery、The Saatchi Gallery、王立芸術院(いずれもロンドン)、パリ・アートフェア、ベネツィア・ビエンナーレにおける展示がある。