HITOTZUKI

「BACK IN THE POOL」

2013.9.20(金)~11.12(火)

アート&カルチャー

夏の日のお祭り騒ぎは、秋風とともに記憶の奥底に消えていきます。夏の間に賑わったプールも水がなくなると、落ち葉に覆われ、途端に静けさが訪れるというのも束の間、ふたたび密やかな賑わいを取り戻そうとしています。月並みな場所での遊びでは満足しない人々にとっては、忘れられた場所こそ、恰好の遊び場になるのです。

秋の始まりを象徴するウィンドウディスプレイは、ダイナミックにペイントされたプールの底が背景になっています。日本人アーティスト、KAMIとSASUによるHITOTZUKIが描くペインティングはプールの滑らかな形状に沿うように、独特の曲線が導く空気感と相まって、見るものの視点をゆがめ、まるでストリートのスポーツが追い求めるスピード感や即興で生まれるハーモニーを描いているかのようです。これを背景にたたずむのは二人の男性。今まさに、その壁にペイントを始めようとしているひとと、プールの縁に座りグラスを片手に話しかけるひとです。そして、プールサイドに置かれたパンプスが漂わせる女性の気配。シンボリックに描かれた花模様の色合いと呼応するように広がる夕焼けの下で、彼らが過ごす時間は、騒がしい遊びとは無縁の大人のひとときです。

小窓では、滑らかな曲線の雲の向こうで、人々のシルエットや遊びに使われる道具とエルメスの製品とがたわむれ、何気なく過ぎ行く日常の中に、まだまだたくさんの遊びが潜んでいることを思い起こさせてくれます。

正面ウィンドウの輪郭も大きな雲の輪郭に覆われ、架空の物語のなかの景色を見ているようです。まるで、このひとときも秋が終わるころには、過ぎ去ったひとときとなっているということを、ほのめかすかのように。

アーティストプロフィール


HITOTZUKI
アーティスト、ミュラリスト(壁画家)として知られるKAMIとSASUはストリートカルチャーを根底に活動の場を広げ ’99年に共同制作を開始。KAMIのダイナミックに流れる曲線と、SASUの強く華やかなシンメトリーのモチーフが交差し描かれる独特な世界観は、ストリートから派生した美の意識に新たな風を吹き込み、時代に新しい風景を残してきた。日々のライフスタイルそのものをアートと捉え、東京をベースに国内と海外を巡る生活を続けている。