スガイトシユキ

【ウィンドウ】「境界線の中の解像度」

2014.9.19(金)~11.18(火)

無数の画面と現実の風景が混じりあう日常を、私たちは当たり前に過ごしています。多くの映像はリアルなまでに鮮明で、画面に映し出される映像が無数のドット粒子から成り立っているにも関わらず、我々はあたかも窓越しの風景を肉眼で見ているかのように映像の存在を自然に受け止めています。

window_201409_s2そんな日常の中に、ふと飛び込んでくる非日常の異国の風景。メゾンエルメスのウィンドウ越しの大きなスクリーンには、パリのフォーブル・サントノーレ通りにあるエルメス第一号店のファサードが2種類の表現で映しだされています。現実であっても非日常的な異国の実写の映像と、リアリティを求めて描かれているが実写ではないドット映像。2種類の映像は、右側ではLEDパネル、左側ではアナログな出力紙でそれぞれ屏風型のスクリーンとなって現れており、ウィンドウの前を通り過ぎる人はふと、日常と非日常、現実と虚像といった二つの世界をインタラクティブに行き来するような感覚を得るのではないでしょうか。

テクノロジーによって、人々はさまざまな世界を無意識的に行き来する日常を送っています。そしていまや物理的な境界のみならず、現実、非日常といった観念的・抽象的な境界までもがあいまいになっています。パリ/東京、実写映像/ドット画、日常/非日常、リアル/デジタル……異なる世界の境界が常に更新される、我々はそんなメタモルフォーズの運動のなかにいます。情報の渦のなか、ものすごい速さですぎていく日常ではなかなか感じることのできないこのメタモルフォーズですが、ウィンドウの中で二つの世界を行き来する光の馬をとらえる時、それを体感するような瞬間がきっと訪れるでしょう。

Artist Profile: スガイトシユキ
2003年株式会社セミトランスペアレント・デザインを設立。ネットとリアルを連動するような独自のデザイン手法を確立しウェブ広告を制作。国内外の広告賞を多数受賞。2008年にNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)、2009年に山口情報芸術センター(YCAM)、2010年にクリエイションギャラリーG8、2011年にパリ・ポンピドゥーセンターでインスタレーションを展示。また2012年には21_21 DESIGN SIGHTにて田中一光氏のためのインスタレーションを展示するなど、デジタルメディアを中心とした表現活動も行っている。