オブジェに宿るもの:時代は変わる

『恋人たちの食卓』

2017.11.18(土)~11.26(日)

アート&カルチャー

10月、11月の2カ月間にわたりお送りする、秋の特別プログラム「衣・食・住」。第三弾はアン・リー監督による『恋人たちの食卓』を上映いたします。
その他の作品についてはこちら ※本プログラムでは、お一人様各作品1度ずつ、全3作品をご予約いただけます。


『恋人たちの食卓』Eat Drink Man Woman
1994年/台湾/124分/カラー/ブルーレイ

監督・脚本:アン・リー
共同脚本:ワン・フィリン、ジェイムス・シェイマス
撮影:リン・ジョング
音楽:マッダー
編集:ティム・スクイアーズ
製作総指揮:リャン・ファンギ
製作:シュー・コン、シュー・リーコン
出演:ラン・シャン、ヤン・クイメイ、ウー・チェンリン、ワン・ユーウェン、ウィンストン・チャオ

台湾最高峰の高級ホテルでシェフを務めた父親は、男手ひとつで三人の娘を育ててきた。日曜の夜は父の料理を前に、食卓を一家四人で囲むのが決まりであったが、娘たちの箸は進まず空気も重い。彼女たちの生きる世界はすでに、この静かな家の外にあったのだ。恋愛に臆病な高校教師の長女、航空会社勤務の才色兼備な次女、無邪気な女子大生の三女。それぞれに恋の季節を迎えた娘たちが、一人、また一人と巣立っていく。
食することの宿命、愉悦と享楽。美しい娘たちの恋模様を背景に、食事という儀式の力を豪勢な料理の数々とともに描いた、アン・リー監督の出世作。


『恋人たちの食卓』
アレキサンドル・ティケニス(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)

アン・リーの初期作品を振りかえろう。台湾生まれのアン・リー自身が言うように、中国語には「この世に終わらぬ宴はない」という格言がある。家族、時の流れ、生活スタイルの変化をあつかった初期3部作に、これほどふさわしい言葉はないだろう。

3部作のどの作品でも、台所、みんなで囲む食卓、家族そろっての食事が、大きな役割をはたす。結婚披露宴、毎日の食事、あるいは日曜日の晩餐で、同じテーブルについたひとびとが世代や文化の違いを越えて心を通わせ、かと思えば、お互いの感情を激しくぶつけあい、家族の秘密をぶちまける。
『恋人たちの食卓』には、料理をつくったり食べたりする場面が何度もでてくる。一流シェフとして活躍した朱氏がつくる料理は、味覚だけでなく香りや色彩で食欲をかきたてる。3人の娘を育てた朱氏は、家族のきずなを守るために豪華な料理を用意する。しかし、家を早く出たいと思っている娘たちにとって、父親との晩餐は重荷だった。

英語のタイトルが示すとおり、この作品は、飲食と男女関係をテーマにしている。食べることと愛することは分かちがたく結びついている。どちらも人生に不可欠である。恋愛とおなじく、食事も快楽をうみだす。五感を満たし、幸福をもたらす。三姉妹は性格こそまったく異なるが、いずれも幸福をさがしている。高校教師の長女、キャリア・ウーマンの次女、大学生の三女。映画は、三姉妹それぞれの男性との関係(父親との関係を含む)を同時進行で描き、それぞれの食べ物との関わり(三女はファストフード店でアルバイトをしている!)を映しだす。

『恋人たちの食卓』は、親子関係の変化を繊細な眼でとらえたホームドラマであり、何人もの肖像を暖かなユーモアをまじえて描いた群像劇である。物語の始まりから終わりまで、アン・リーはたえず観客の意表をつき、主要な人物をすべて予想外の運命にさらす。最後は、冒頭の場面と同じく、食堂の丸テーブルを囲んだ食事のシーンで終わる。そのテーブルは、ついに幻と終わった家族のきずなの象徴である。料理の伝統はこれからも守られるだろう。しかし「この世に終わらぬ宴はない」。料理をつくる者が変わり、食べる者も変わったのだ。

上映スケジュール


上映日:11月18日(土)、11月19日(日)、11月23日(木・祝)、11月24日(金)、11月25日(土)、11月26日(日)

上映時間


11:00/14:00/17:00

会場


銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)

予約


予約開始:10月28日(土)11:00
予約方法:10月28日以降、「予約」ボタンよりご予約ください。

※上映会は、中学生以上の方にご参加いただけます。
※ご予約は、鑑賞ご希望の上映日の3週間前の11:00からとなります。
※満席の場合にはご予約頂けませんが、当日キャンセルのあった場合は、会場にて先着順でご鑑賞いただけます。(上映時間5分前に会場に直接お越しください。)